散文 カレー食べたし仕事始の十一時 仕事始めの朝。久しぶりのデスク、久しぶりのキーボードの感触。年末年始の喧騒が過ぎ、日常がゆっくりと戻ってくる。けれど、頭も体もまだ本調子ではなく、時間だけが淡々と進んでいく。ふと時計を見ると、十一時。昼には少し早いが、腹の底からじんわりと湧... 2025.02.19 散文
散文 プリキュアのスライドパズル去年今年 子どもの部屋の片隅に、プリキュアのスライドパズルが置かれている。カラフルなピースが少しずつずれて、キャラクターの顔が歪んでいる。去年、夢中で遊んでいたあの小さな指先は、今年もまだこのパズルを動かしているのだろうか。去年の冬、何度も何度もこの... 2025.02.19 散文
散文 初春や赤いファーストシューズ買う 店先に並ぶ小さな靴の数々。その中で、ひときわ目を引いたのは赤いファーストシューズだった。まだ誰の足にも馴染んでいないその靴は、春の訪れを待つように、柔らかな光を受けて佇んでいる。初めて履く靴。初めて歩く道。その小さな一歩が、これからどれほど... 2025.02.19 散文
散文 三寒四温小さき膝をぽむぽむす 冬の終わりが近づき、寒さと暖かさが交互に訪れる。三日寒さが続いたかと思えば、四日ほど春の気配が忍び寄る。空気の冷たさに身を縮める日もあれば、ほんのりとした温もりにコートの前を緩める日もある。小さな膝が目の前にある。まだ柔らかく、少し丸みを帯... 2025.02.19 散文
散文 母泣いて娘も泣いて寒卵 台所の隅、朝の冷えた空気のなかに、卵が一つ転がっている。冬の光を受け、白い殻がわずかに冷たく光る。その小さな存在が、妙に静寂を強調しているように思えた。母が泣き、娘も泣いている。何があったのか、その理由は聞かなくても、涙の質感だけが伝わって... 2025.02.19 散文
散文 自由席自由に足を伸ばすマスク 車窓の外に冬の景色が流れていく。白く霞む山並み、枯れた木々、時折見える小さな町の駅。自由席の車両は空いていて、私は足を伸ばし、深く座席にもたれる。隣に誰もいないことの解放感と、静かに揺れる列車の心地よさ。マスク越しの呼吸は薄く曇り、車内アナ... 2025.02.19 散文
散文 古本屋に読まない本や春を待つ 古本屋の棚には、誰かが手放した本が静かに並んでいる。背表紙に刻まれた題名は、どれもかつて誰かの手に取られ、読まれたもの。あるものは愛され、あるものは途中で閉じられたまま、時間のなかに置き去りにされたのだろう。奥のほう、埃をかぶった一冊を手に... 2025.02.19 散文
散文 冬の夜のタイムラインの訃報かな 冬の夜、スマートフォンの画面を指でなぞる。タイムラインには、いつものように人々の日常が流れている。誰かの食事、旅の風景、ふとしたつぶやき。けれど、その流れのなかに、静かに沈むように訃報の文字があった。知っている名前だった。親しいわけではなく... 2025.02.19 散文
散文 霜柱愛即是空空即是愛 踏みしめるたびに、霜柱が細かな音を立てる。凍った土が割れ、無数の小さな氷の柱が砕けていく。その感触は儚く、しかし確かに足元に存在していたものが、音もなく消えていく様に、ふと胸が締めつけられる。愛とは、形のあるものなのか。それとも、触れた瞬間... 2025.02.19 散文
散文 雪達磨教育委員会監修 広場の隅に、一体の雪だるまがぽつんと立っていた。形はどこか整いすぎていて、目や口も正確に配置され、頭には小さなバケツが乗せられている。周囲の子どもたちはすでに遊び疲れたのか、あるいは飽きてしまったのか、雪だるまのそばには誰の姿もなかった。た... 2025.02.19 散文