冬の夜のタイムラインの訃報かな

散文
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冬の夜、スマートフォンの画面を指でなぞる。タイムラインには、いつものように人々の日常が流れている。誰かの食事、旅の風景、ふとしたつぶやき。けれど、その流れのなかに、静かに沈むように訃報の文字があった。

知っている名前だった。親しいわけではなくても、何度か言葉を交わしたことのある人。あるいは、一方的に見ていただけの存在。それでも、その人がもういないという事実が、この冷えた空気のなかで、ゆっくりと心に染み込んでくる。

冬の夜の静けさは、訃報をひときわ際立たせる。画面の向こうで交わされる追悼の言葉、思い出を語る人々。そのどれもが、もう返事をもらうことのできない相手に向けられている。いいねやリツイートのカウントが増えるほど、その人の不在が確かになっていくようで、少しだけ息苦しくなる。

指を止め、そっと画面を閉じる。外では冬の星が冴え冴えと光っている。タイムラインの流れは止まらず、やがて新しい話題へと移っていくのだろう。それでも、この夜の寒さとともに、訃報の余韻だけはしばらく心の奥に残り続ける。

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