プリキュアのスライドパズル去年今年

散文
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子どもの部屋の片隅に、プリキュアのスライドパズルが置かれている。カラフルなピースが少しずつずれて、キャラクターの顔が歪んでいる。去年、夢中で遊んでいたあの小さな指先は、今年もまだこのパズルを動かしているのだろうか。

去年の冬、何度も何度もこのパズルを完成させ、誇らしげに見せてくれたあの笑顔。今年はどうだろう。もう簡単すぎて、手に取ることも減ったのかもしれない。新しいおもちゃが増え、興味の対象が少しずつ移り変わるなかで、このパズルもまた、過去のものになりつつあるのかもしれない。

けれど、指でそっとピースを動かしてみると、カチリと音を立てて絵が少しずつ揃っていく。その感触は変わらず心地よく、ふと、去年の時間が蘇る。ほんの一年前のことなのに、ずいぶん遠く感じられるのは、子どもの成長があまりに早いせいだろうか。

完成まであと一手。けれど、去年のままの手ではない。今年の手は、ほんの少し大きく、ほんの少し速く、確かに前へと進んでいる。去年と今年の境界線をまたぎながら、パズルの絵柄は静かに整っていく。

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