エッセイ

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エッセイ

ステーキ皿

昼過ぎ、インターホンが鳴った。モニター越しに見る配達員は、すでに「重いですよ」という顔をしている。ドアを開けると、段ボールが2つ。どちらもそれなりに主張が強く、玄関のたたきが一気に狭くなる。中身は生活そのものだった。赤ちゃんの食事用マット、...
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コロッケ

19時半、帰宅。玄関のドアを開けると、家の中は静かで、電気もついていない。靴を脱いで一歩入ると、すぐに分かる。「あ、妻は一度帰っているな」と。キッチンに行くと、その証拠があった。シンク脇のカウンターに、皿と箸。皿には揚がったパン粉が散らばり...
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だるまさんがころんだ

居間の真ん中で、妻と娘と3人、「だるまさんがころんだ」をすることになった。昼下がりで、窓から入る光が畳の縁を白く照らしている。テレビは消えていて、家の中はやけに静かだ。こういうとき、人は突然、昔ながらの遊びを始める。鬼は代わり番こ。私が壁に...
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エッセイ

トイレ

10時起床。カーテンの隙間から入る光はすでに朝というより昼寄りで、部屋の空気は夜の名残と生活臭が半々に混ざっている。私は布団の中でそのままスマホを手に取り、世界のどうでもいい情報を指先でなぞっていた。すると、横から声が飛んできた。「パパ、は...
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キツネうどん

17時。台所の窓は西日に照らされて、ステンレスの流し台だけがやけに明るい。「うどんが食べたい」妻がそう言ったので、反射的にキツネうどんを作ることにした。反射的、というのが大事で、これは思いやりというより条件反射に近い。棚の奥から、四国土産の...
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ダイニングテーブルがあり、高さが生まれた

床で就寝。この一文だけで、その頃の部屋の匂いとか、明かりの感じとかが、わりと鮮明に蘇ってくる。あの頃、私は床で寝ていた。私の人生にはなぜか「床で寝る時期」と「ソファで寝る時期」があって、2023年頃は間違いなく床の時代だった。さすがに直に床...
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回らない寿司

昼の12時、回転寿司。レーンの上を流れているのは、マグロでもサーモンでもなく、「本日のおすすめ」とか「今だけ100円」みたいな文字が印刷されたプレートだった。プラスチックの板が、寿司の代わりに淡々と周回している。照明に反射して、やけに清潔で...
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生協

まだ子供が小さい頃、生協の宅配を利用していた。生協の宅配が来る。インターホンが鳴って、ドアを開けると、発泡スチロールの箱がきちんと角をそろえて置かれている。保冷剤がまだひんやりしていて、午前中の空気を閉じ込めたままの感じがする。箱の側面には...
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旅行代理店の旅

妻と合流して、駅前の旅行代理店に入る。ガラス張りの店内は、午後の光が少し白く反射して、パンフレットの海だけがやけに色鮮やかだった。ハワイの青は日本の紙の上でも十分に主張が強く、見ているだけで日焼けした気分になる。相談内容はハワイ旅行について...
エッセイ

いたずらサッカー

その日は、娘が「いたずらサッカーしよう」と誘ってきた。いたずらサッカーが何なのかは、正直よく覚えていない。たぶんボールを蹴るというより、蹴るフリをして笑うとか、ゴール前で急にルールが変わるとか、そういう類のやつだ。リビングには夕方の光が溜ま...
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