灯火親しむとてもありがとうございます

夜が早く訪れるようになり、部屋に灯火がともると、日中の忙しさがまるで遠いものに思えます。秋から冬へと向かう季節の静けさの中で、灯火の温かさが柔らかに揺れる様子は、ほっと心がほどけるような安らぎをもたらしてくれます。その小さな灯りがただそこにあるだけで、長い夜も穏やかなものとなり、心を落ち着ける時間が広がります。

「灯火親しむ」とは、まさにそのぬくもりに感謝する気持ちそのものです。冷え込む空気がしんしんと窓を伝うなか、温かな光に手を伸ばし、ふとした幸せを感じる瞬間があります。このささやかな灯りがもたらす安堵と安心が、暮らしに欠かせないものだと実感します。

改めて「ありがとうございます」と言いたくなるのは、灯りそのものへの感謝かもしれません。昼の喧騒や寒さが降り積もる外の世界を忘れさせ、今ここにいる安らぎをそっと包み込んでくれる灯火。その存在が、ただ無言で寄り添ってくれることが、どれほど心強いことでしょう。

ひとときの光が心に沁みわたるように、静かに深まる夜とともに感謝の念も静かに心に満ちていくのです。灯火とともに過ごす穏やかな時間が、どうか長く続きますようにと、しみじみと願う秋の夜です。