一秒をゆつくり数え冬の星

散文
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夜空に凍てつくような冬の星々が輝いている。空気は研ぎ澄まされ、星の光が澄んだ刃物のように冷たく心に触れる。街の喧騒は遠く、足元の影も輪郭を失い、ただ無音の宇宙が広がる中で、自分の存在の小ささを感じる。手をポケットに入れ、足を止めて、ふと星を見上げると、一秒一秒が異様に長く感じられる夜だ。

星を数える。それは儚くて不確かな作業だが、なぜか心が落ち着いていく。見上げるたびに数が増えていくような気もするし、消えていくような気もする。その一瞬一瞬を重ねていくことで、時間の流れがまるで星空に吸い込まれていくようだ。誰かが触れることも、奪うこともできない、一人だけの静かな儀式。

冬の星には特別な冷たさがある。それは孤独や静寂の中に潜む厳しさだが、同時に温かい手が差し出されるような優しさも感じられる。人々の生活の灯りが途絶えた高い空に、星はただそこにあるだけで、何も語らない。それでもその光は、古い記憶を呼び覚まし、見えない未来への道を照らしてくれる。

一秒を数えるたび、世界がほんの少しずつ、けれど確かに動いていることを知る。その静寂の中で、時間は矛盾している。永遠のように感じられる瞬間と、一瞬で過ぎ去る刹那が、星の光のように重なり合う。数え終わった後に残るのは、冷えた空気と、胸の奥に灯る小さな熱。それはこの夜だけの、特別な贈り物だ。

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