「今日の夕食なんですか?お腹空かなさそうです。」
妻からLINEが来た。
保育園に娘を迎えに行き、娘と合流して、公園に入った時にその連絡に気づいた。
最近、LINEのアプリの不調なのか、通知が鳴らず、アプリを起動しないと連絡が表示されない。
妻のこの連絡の意図を考えた。
まず一つ目の文で夕食が何かを聞いている。これは、夕食が何か知りたいということだろう。夕食が何か知りたいということは、食べるための心を整えたいということだろう。
気になったのはは二つ目の文だ。お腹空かなさそう、ということは、食べないかもということだろう。だとしたら、夕食が何かを聞く必要はない。
妻のこれらの二つの文に、美味しそうだったら食べるけど美味しくなさそうだったら食べないよ私は、という意志を感じた。
「刺身やらなんやら」
と妻に返信した。
昼にスーパーでマグロと鯛の柵、それとホタルイカを買っていた。
今日は刺身が食べたく、最近はすでに切られた刺身より、柵で買った方が安い感じがするので柵で買うことが多い。また、ホタルイカはこの時期はよく食べる。スーパーに行くと、三回に一回は買っている。
その後、妻から返事は来なかった。
しばらく娘が公園で遊び、それを眺めた。
最近、保育園のお迎えの時間を少し遅くすることにした結果、以前娘がよく遊んでいた友達と時間が合わなくなってしまった。
娘はすべり台を数度すべり、公園をぐるりと回り、草むらに入ったりした後、自分から帰ろうと言った。
家に帰ると妻がいた。妻もつい先程帰ったらしく部屋着に着替えている最中だった。
夜飯の準備を始めた。刺身は昼に切って皿に盛り、ラップをして冷蔵庫に入れておいたので、基本的には簡単なサラダを作ったりテーブルに置いたりするだけ。
「そういえば、夜飯って食べないでいいんだっけ?」
妻に聞いた。
「いやあ、あんまりお腹空いてなかったからそう思ってたんだけど、刺身だから食べるよ」
妻は言った。
「それって刺身だったから?もし不味そうだったら食べなかったの?」
「そういうわけじゃないよ。揚げ物とかならダイエットもあるしあんまり食べなかったかも」
嘘くさいなあと思いつつ夜飯をみんなで食べた。平たい丸皿に乗ったマグロと鯛の刺身は、自分で切ったからか立体感がなく盛られていたものの美味しかった。
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