映画『今夜ロマンス劇場で』感想(ネタバレ含む)

映画
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※ネタバレあるので注意

『今夜ロマンス劇場で』を見ました。

綾瀬はるか、坂口健太郎主演の作品。

内容としては、映画から出てきたお姫様(綾瀬はるか)と映画好きの青年(坂口健太郎)とのラブストーリー。

先に結論をい言うと、ツイッターでバズってるラブストーリーをあまり深掘りせずに映画化したような感じで、あまり作り込まれていないような印象を受けました。

Contents

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話の内容としては、

・脚本家だった老人が昔作った脚本を看護師に話し出す

・古い映画を何度も繰り返し観る青年がいた

・その映画の中からお姫様が出てくる

・お姫様はハチャメチャ、青年はしもべ扱い

・でも実はお姫様は青年に会うために出てきた

・イザコザがあるも、姫と青年結ばれそうになる

・でも実は、姫は生身の人間に触れられると消滅してしまう

・青年、どうしたらいいかわからない

・ここで老人の脚本は終わり

・実は老人が話の中の青年で、これまでずっと触れずに過ごしてきた

・姫は歳をとらずにまだいる

・老人が死ぬ間際、姫が老人に触る

・2人とも天国で踊ってハッピーエンド?

って感じの話です。

話の大筋はいいと思うんです。

内容も面白そうだし。

ただ、この物語を成立させるために解決させないといけない理屈や、長い時間の中の話というのに対して話のバランスが悪いなと感じました。

以下、気になった点。

・白黒で出てきたお姫様が突然カラーになる

白黒映画から飛び出してきた当初、お姫様には色が付いておらず白黒でした。

それが、メイク室から出てくると色が付いており、化粧で色をつけたという事かなと思ったが、だとしたら目とかどうしてるの?ってなるし、そもそもお姫様1人だとそんな完璧に塗れないだろと思う。映画から出てくるようなファンタジーな世界観なんだから、そこは魔法とかで良かったんじゃないかと。

・最初に老人の脚本の中の話とあったのに老人と青年が同じ名前というバレバレの伏線のせいで物語を予想しやすい

最初に老人を出して、物語の主人公の青年の名前が同じだったら、映画を見ている人からしたらこの青年が老人なんだなって思うし、ということは姫と一緒にいて、最後に触って消えるんだろうな、という予想がすぐにできてしまった。

あまりにもバレバレな伏線だったので、実はミスリードなんじゃないかと思いながら見ていたが結局そのままだった。

・触れちゃいけない象徴として、写真館で撮った記念写真では近づかずに写真を撮っていたが他のシーンではそんなに距離を置いてない

一緒に生きていこうとなった後、写真館で写真を撮るときには不自然さをアピールするように距離を取っていたのに、日常のシーンでは結構近づいており、写真を撮るときに距離を取ることは誰へのアピールなの?となる。

・課題設定のバランスがおかしい

今回の話では、姫様との恋愛と姫様が生身の人間に触れることができないという2点が課題となっている。その上で、青年が老人になるまでの時間軸で考えたら、恋愛よりも触らない方が明らかに難易度が高いはずなのに、時間を一気に吹っ飛ばしているので辛さが伝わらない。

触れられなかったから男の方は冷めてしまっており、それで辛さが出てないのかな?と思えるくらい。

お姫様が出てきた動機は青年に会うためという御都合主義の塊だったのだから、恋愛パートはさっさと終わらせて、触れられないことの苦しさ、辛さにもっと焦点を当てるべきだった。

・その他細かいところ

その1

映画会社の娘が青年に惚れているという設定が薄ら寒い。いや、こういう設定があるのはいいのだが、最初に老人がこの話は自分が作った脚本と言っており、しかも結局その青年は老人なのだから自分で作った脚本で自分を主人公にして社長の娘を惚れさせる必要あるか?と思った。社長の娘は、触れられない姫様に対して触れられる社長の娘という対比を見せる役だったのだが、触れられる対比を見せたいだけであったら親友ポジションに彼女を作らせて触れている日常を見せつけたら良かったと思う。わざわざ姫と社長令嬢の対立構造を作ることで、ファンタジーと現実を対比させようとしている魂胆が透けて見える。しかも、ここで普通の町の娘じゃなくて、社長令嬢としたところが、結局金には勝てないんだよな、とでも言いたげな監督の意図が見え、ファンタジー作品が撮りたかったのか、ファンタジーの中にある現実を描きたかったのかピントがズレている。

その2

一緒に生きようとなった後、姫様が青年の職場に弁当を持ってきて帰る際にガラス越しにキスするシーンがある。弁当を持ってくるというのは日常を表しているのだと思う。ということは、毎日職場のガラス越しにキスをしており、毎日そんなことしてたら皮脂汚れでガラス曇っちゃうだろ、と思った。そもそも、そんなの家でラップでも使ってやればいいのに何を職場でやっているのかと。

その3

最後、老人が死ぬときに姫様が初めて触れて、あったかい、と言うシーンがあるが、死ぬ前の老人を触っても冷たいだろ、と思った。もちろん、心の温もりみたいなことだとは思うが、それは別に触らなくても充たされることはあるはずで、最後の最後に老人に触ってあったかいというのは陳腐な描写だなと思う。

その4

老人の死後の世界に出てくる人が青年時代の人ばかりで、姫様と一緒に生きた老人の人生は何もない空虚なものだったのかなと思ってしまう。老人が死んで、姫様が消えた後、天国で2人は触れ合えるという意味で、舞踏会場で2人が踊るシーンがあるのだが、その時の観客が全員青年時代に出てきた人ばかりで、青年以後は何もなかったのかなと思ってしまった。少しうがった見方をすると、青年は姫様と一緒に生きて行くと決めてから死ぬまで姫様に尽くしてしまったせいで、人生が空虚なものになってしまったのかなとも思う。実は監督はそれを伝えたかったというなら大したものだと思う。ただ、それにしては老人や姫様は小綺麗な格好をしていたので、老人をもう少し小汚い格好にして、最初のシーンは病院の個室で優雅に脚本を語るというシーンではなく、独居老人が訪問してきた市役所職員に無理やり話し出すというシーンだったら完璧だった。

とまあ、感想はこんな感じです。

多少気になる点はありましたが、今はアマゾンプライムで無料で見れるので、時間つぶし程度に見るにはちょうどいいかもしれません。

最後に、触れたら消滅してしまうというのを見て、コロコロチキチキペッパーズのキングオブコントの1本目のネタを思い出しました。

以上。

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