正月の三本足と二本足

散文
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朝の空気が澄みわたり、新しい年の光が街を静かに照らしている。まだ人影の少ない道を歩くと、鳥たちが地面をついばみ、忙しなく動いているのが目に入る。その足跡は、三本の指を広げた形で土や雪の上に残され、まるで見えない書を記すかのようだ。やがて彼らは軽やかに飛び立ち、空へと消えていく。

やがて、初詣へ向かう人々の姿が増えてくる。二本の足でしっかりと大地を踏みしめながら、それぞれの願いを胸に進んでいく。その歩みは、時に急ぎ足で、時にゆったりと。人の足跡は鳥のものとは異なり、確かに地に残りながら、しかし時間とともに消えていく。

空を行くものと地を行くもの。三本足と二本足、その違いを思いながら、私はふと、自らの歩みについて考える。鳥のように軽やかに未来へ舞い上がることができるだろうか。それとも、人として一歩ずつ確実に道を刻んでいくべきなのか。正月という節目に立ち、それぞれの生き方を映す足跡を見つめる。

どちらの足跡も、やがて風に消え、また新しいものが刻まれる。それでも、今この瞬間に確かに歩いているという事実だけは残る。私は静かに息を整え、二本の足で次の一歩を踏み出した。

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