【感想】共同生活ってのはいいねえ!『哀愁の町に霧が降るのだ』

シーナマコト
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どうも、ほけきよです。

 

この前、椎名誠の事について書いてたら、

改めて椎名誠の本が読みたくなったんで、

『哀愁の町に霧が降るのだ』

を読み返しました。

 

みんなに読んでもらいたい!作家・椎名誠の魅力!
僕は椎名誠が好きなんです。 でも、周りの人はその面白さを理解してくれないんです。 妻も理解してくれないんです。 うーん、非常にさびしい! こんなに面白いのになぜ読んでくれないんだ… そんな気持ちになったので、 それを...

 

 

 

 

いやー

やっぱり面白いですね。

 

最初に僕がこの本を読んだのは、

僕自身が共同生活を

していたときだったんですが、

当時はすごく衝撃を受けました。

 

古き良き青春というのを

思い出させてくれます。

 

【感想】共同生活ってのはいいねえ!『哀愁の町に霧が降るのだ』
どうも、ほけきよです。 この前、椎名誠の事について書いてたら、 改めて椎名誠の本が読みたくなったんで、 『哀愁の町に霧が降るのだ』 を読み返しました。   いやー やっぱり面白いですね。 最初に僕...

 


と、いうわけで

この感動をお伝えするべく、

感想などを書いていきます。

 

 

流れはこんな感じで書いていきます。

・あらすじ

・当時の椎名誠(デパートニューズ社編集長〜独立直後)

・高校時代

・克己荘

・デパートニューズ社入社

・まとめ

 

 

 

Contents

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あらすじ

東京・江戸川区小岩の中川放水路近くにあるアパート「克美荘」。
家賃はべらぼうに安いが、昼でも太陽の光が入ることのない暗く汚い六畳の部屋で、四人の男たちの共同貧乏生活がはじまった――。
アルバイトをしながら市ヶ谷の演劇学校に通う椎名誠、大学生の沢野ひとし、司法試験合格をめざし勉強中の木村晋介、親戚が経営する会社で働くサラリーマンのイサオ。
椎名誠と個性豊かな仲間たちが繰り広げる、大酒と食欲と友情と恋の日々。悲しくもバカバカしく、けれどひたむきな青春の姿を描いた傑作長編。

哀愁の町に霧が降るのだ:小学館

 

 

 

ちなみに椎名誠自身は以下のように評しています。

新作の書き下ろしを頼まれて「カンヅメにしてくれるなら書きますよ。『伊豆の踊子』もそうだし、名作は温泉で生まれるものですよ」と言って出かけたのは南紀串本。作家というのはカンヅメになるものだと思って憧れていたわけです。夏の終わりだったので、宿のお客はほんの5人ぐらいで冷房なんかつけてくれない。蒸し暑くてたまらなかった。実はこのとき、有給休暇をとってカンヅメになっていたのに、『平凡パンチ』が密着取材に来て11ページもグラビアに出てしまったので、後で「お前、何やってたんだ!」と怒られてしまいました。最初は1冊で完結する予定だったのが2冊、3冊と続いていまだに未完の作品です。下巻を書いた頃にはサラリーマンをやめて作家になってました。その後、この話は一種のシリーズとしてぼくの中では継続していくことになりました。『新橋烏森口青春篇』『銀座のカラス』と続き、『週刊朝日』の連載『本の雑誌血風録』につながるわけですね。それぞれ微妙に書き方が違っているので、一見シリーズらしくはありませんが。この作品についてはよく、映画化の話はなかったんですか、と聞かれるのですが、実を言うとあったんです。当時は「たのきんトリオ」の全盛期で、彼らを主役に、という企画だったんだけど、脚本を見たらあまりに話が変わっていたので断ってしまった。ぼくは映画が原作に忠実でないということはジャンルが違うのだから仕方がないと思っていますが、このときはいくらなんでも、というぐらいに原作から離れた内容になっていたので、相談の上で断ろうということになったんです。ただ断る前に木村や沢野と、誰が俺の役をやるんだといってモメた記憶があります。バカですね(笑)。しかしこの本がこんなに長く読まれることになるとは夢にも思いませんでした。すぐに絶版になってもおかしくない、という気持ちでいたのに、いまだに版を重ねているし、まさか文庫になるなんてね。こんなことなら、もっとちゃんと書いておけば良かった(笑)。でも、この作品も『さらば国分寺書店のオババ』と並んで、ぼくにとってはエポック・メイキングな作品です。 (椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)

哀愁の町に霧が降るのだ≪椎名誠 旅する文学館

 

 

当時の椎名誠(デパートニューズ社編集長〜独立直後)

上巻での時はまだ会社員だったのだが、

書くのが遅いせいで、

物語の途中で独立してモノ書きになってた。

 

シリーズ物というわけでもないのに、

上・下同時発売でなく、

いつの間にか上・中・下で発刊されたそうですね笑

 

この時のに出てくる人は、

昔の話にも出てくるし、

これ以降の椎名誠のエッセイにもよく出てきます

 

物語は今(当時)の椎名誠から始まります。

 


モノ書きだからという事で、

ひなびた温泉地で缶詰めになってみたり、

ホテルで缶詰めになってみたり。

 

缶詰めになってもなかなか筆が進まないんですが、

その筆が進まないことを

本に書いちゃうっていうのが面白いですね。

なんでも書いちゃうっていう感じが面白いです。

 

 

高校時代

『父親が死んだらぐれなくてはならない』

という信条の元、

喧嘩に明け暮れていた高校時代。

 


番長格だった椎名誠

柔道部での日々や、喧嘩の日々が

描かれています。

 

そんな時、高校の同級生だった沢野ひとし、

その友達の木村晋介と出会う事により、

千葉の荒くれ文化とはまた違った文化

出会う事になります。

 

荒くれ者だった高校時代が描かれ、

そこから、沢野ひとし、木村晋介といった、

東京っぽさを纏った人と出会います。

そこから、暴力ばかりだった文化とはまた違った

椎名誠の現在の文化に繋がっていくのです

 

 

克己荘

イサオ、沢野ひとし、木村晋介といった面々と

共同生活の始まり。

 

イサオはサラリーマン、

沢野ひとしは大学生

木村晋助は司法試験

といったように、

それぞれがそれぞれの世界を独立して持っていました。

 


椎名誠も独自の世界を持っていながらも、

それぞれが克己荘という共同母体で絡み合っていきます。

 

また、この共同生活者4人以外にも

様々な人が宴会、駄弁りに克己荘に訪れてきます

 

まさに共同生活の醍醐味と言えると思います。

 

この時、すごくいいと思うのが、

共同生活だとそれぞれの距離感というのが

大切だと思うのですが、

みんながみんなが同じ世界にいるのではなく、

それぞれがそれぞれの世界を持っていて、

その世界に対して干渉することが

ないということがいいと思いました。

 

また、みんながお金に対して引け目がない、

女関係で争わないというのが良かったです。

(描かれなかっただけかもしれませんが…)

 


みんながお金を持っておらず、

唯一のサラリーマンであるイサオの収入に

けっこう依存していながらも、

イサオに対して誰も引け目を持っておらず、

なんならちょっとナメているような感じまでみられます。

 

女の取り合いなんかがないのも良かったです。

共同生活でそんなことあったら

一発でギクシャクしちゃいますからね。

 

みんなが、どこか

媚びないような気持ちを持ち、

硬派な雰囲気が克己荘の良さと

言えるのかもしれません。

 

 

共同生活の終わり

貧困にあえぎながらも、

つつましくも楽しかった共同生活。

 

その終わりは木村晋介の退去から始まりました。

 


木村晋介はもともと、

司法試験を控えており、

共同生活をするような必要なんかなかったのです。

 

それが、椎名誠にそそのかされ、

楽しそうということで、

克己荘の共同生活にやってきました。

 

それが、父親の病気や司法試験への本格的な勉強

とうとう克己荘を出なければならなくなりました。

 

木村晋介は克己荘の共同生活において、

とうちゃん兼かあちゃんと言われるように、

みんなの財政と胃袋の管理するほどの

しっかり者でした。

 

そのしっかり者がいなくなることで、

今まで無軌道ながらもどこかまとまりがあった

克己荘も、どこかまとまりのない、

何かが欠けてしまったような雰囲気が出てきました。

 

その後、沢野ひとしが抜け、

共同生活は終わりに向かっていくのです。

 

 

デパートニューズ社入社

木村晋介がいなくなり、

貧困にあえいでいた克己荘。

 


椎名誠はそんな状況から抜け出すべく、

今まではアルバイトでしのいでいたところを、

正社員となり、しばらく働いて

あわよくばボーナスでももらって

辞めてしまおうということを考えました。

 

そんな時入社したのが、

デパートニューズ社という会社でした。

 

そこで働く人々は、

格式張った感じでなく、

自由があり、

どこか克己荘に似た匂いがあったそうです。

 

当初の予定では、

しばらく働いたら、

辞めてしまおうと考えていた

この会社だったのですが、

椎名誠は働いているうちに

その会社が心地よくなり、

そのまま働き続けることになります。

 


そのことを椎名誠は、

『負け勝負』と題しています。

 

確かにそこから椎名誠は、

克己荘を出ることになるのです。

 

しかしながら、

その会社に入ったことは椎名誠にとっては

良いことだったと思います。

 

そのことを『負け勝負』としているところが

彼自身が始めた共同生活への義理堅さ

克己荘の終わりを示していたのかもしれません。

 

 

まとめ

損得を考えない共同生活。

 

あんな時代があったと、

いつか笑えるような生活

すごく楽しそうでした。

 


こうやって

仲間が集まってくるということと、

それを細かに伝える力があるというのは

椎名誠の魅力だと思います。

 

また、貧乏でも

それにふてくされるのではなく、

前向きに必死に楽しく生きるという

ひたむきさに感銘を受けます。

 

僕も、この本を読んで

昔は良かったんだなーなんて

しみじみするのではなく、

楽しく生きるため

どうありたいかというのを考えて生きたいです。

 

ちなみに『椎名誠 旅する文学館』に

目黒さんの評と椎名さんとの対談も書いていて

それもすごく面白いです

(特に、この本が椎名誠の精神的な暗さを

とても表しているという評がすごく納得できました。)

 

 

それでは!

 

 

  

 

 

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