名古屋にららぽーとができた。
ららぽーとというのはショッピングセンターで、いろんなテナントが入っている。
ららぽーとができた当初、
東海地方の情報番組ではららぽーとの魅力を連日取り上げていた。
そんな情報番組を眺めていたときに、
ある情報が目に入った。
それは、
ららぽーとにカーネルブッフェが入る!
というニュースだ。
カーネルブッフェを知ってますか?
カーネルブッフェというのは、
ケンタッキーフライドチキンがやっているレストランで、
普段ケンタッキーで出しているメニューが食べ放題で食べれるのだ。
日本で2,3店舗しか出してないらしく、
5,6年前に何かの雑誌で大阪の紅葉が有名な街(名前は忘れた、なんか難しい漢字の街)でやっているのを聞いたことがあった。
当時、ケンタッキーの食べ放題というのを聞き、行ってみたかったものの、いかんせん近くにないため、憧れのままで終わっていたカーネルブッフェが新しくできたららぽーとに入っているとは!
これは絶対に行かなくてはならないと思い、平日に仕事を休んで行くことにした。
休日に行ったら混雑すること必至なので平日、しかも開店時間に合わせて行ったのだが、行ってみると店の前にまさかの行列ができていた。
整理券を取ると39番…
しばらくすると開店して、店員さんが案内を始めると、25番以降はワンサイクル回った後になると言う。1時間ほど時間をいただきます、とのこと。
みんなケンタッキー好きなんだなと思いつつ、ららぽーと内で時間を潰した。
今思うとここで1時間待ったのは失敗だったかもしれない。
ケンタッキーフライドチキンという、油の塊との真剣勝負に耐え切れる体に調整するため、私は朝飯を少なめですませ、ららぽーとの手前から1時間ほど歩き、開店と同時にフライドチキンとの真剣勝負が繰り広げられるように調整していた。
しかし、1時間待つという思わぬハプニングに、開店時間に空腹のピークを持って行ってた私の体は、だんだん空腹を超えて逆に空腹をあまり感じない状態に入ってしまったのだ。(ちなみにこれは空腹状態が続くとアドレナリンが出るため、血糖値が上がって空腹感がなくなるらしい、勉強になるね!)
一時間ほど時間を潰し、空腹を超えた非空腹状態になってしまった私は店員さんに案内されて店の中に入って行った。
システムとして前払い制で料金は1900円くらい。
一人で来ていた私は2人がけのテーブルに案内された。
早速、料理を取りに行く。
置いてある料理を見てみると、フライドチキンの他に、ポテトやサラダ、パスタやカレーなど様々な種類がある。
ドリンクバーも付いており、普通のバイキングとしても良い感じだ。早速チキンとポテト、あと油を洗い流すための烏龍茶を取って席に戻ると、何か様子がおかしい。
どうやら、自分の席に荷物が置かれているのだ。
困った。
1人で来ていたので、
「ここ俺らの席だっけ?」
なんて聞く相手もおらず、ただ周りをキョロキョロして立ち尽くすのみ。
しかも、特に荷物を席に置いて行かなかったため、本当の席なのかどうかの確信が持てない。
なんなら、自分の方が間違えていたのではないかと不安になってくる。
しばらくキョロキョロとしていると、
後ろの席で食べてた家族のおじさんが、
「ああ、そこが兄ちゃんの席だよ」
と教えてくれて少し安心した。
もう少し待つと、
2人組の女性が料理を持って戻ってきたので、ここが自分の席だと伝えると席を移ってくれた。
どうやら隣の席だったらしく間違えたらしい。
バイキングに1人で来ている客は自分の他にはおらず、2人組の女性に話しかけるのはなかなか勇気がいった。
考えてみると、1人でフライドチキンの食べ放題に来るっていうのはなかなか変な光景だ。
フライドチキンは箸を使ってスマートに食べるわけではなく(店内に箸を使って食べてる人もいたが)、手づかみで食べる。
実に動物的で恥ずかしいではないか。
知り合いなんかと来ていたらその恥ずかしさを共有することもできるのだろうが、いかんせん一人で来ていた私にはこの恥ずかしさを共有する相手もいない。
しかも、フライドチキンを貪りながら、少し周りを見てみると周りの人は骨に肉をまだ付いたまま殼入れに入れているのだ。
私は骨の端についている軟骨が好きで、そのためにフライドチキンなんかはしゃぶり尽くすような食べ方をしてしまう。
それに対して周りの人達は、脂の乗った肉の部分以外は食べる価値がないとでも言うように、真ん中をかぶりついた後、まだ端に肉がついているそれを骨として、殼入れに放り投げているのだ。
その姿はまるで野蛮人のそれのようだったが、向こうから見ると、端の肉までむしゃぶりついている私の方が獣のように見られていたかもしれない。
そんな周りの目からの視線に耐えながらフライドチキンとの真剣勝負は始まった。
まず一皿目、チキン3本、ポテト、ビスケットを取ってくる。
ケンタッキーのチキンには部位の種類があり、部位によってヘルシーな部位と脂たっぷりの部位がある。
チキンを取る場所には部位の特徴と見た目での判別方法が書いていた。
食べ放題一皿目ということもあり、脂っこいものを食べたいと思った私は、2本とも脂が乗った部位を取ったのだが、食べてみると片方はサラダチキンのようなヘルシーな部位だった。
衣をつけてあげているため正直外見の違いは分からなく、ケンタッキー初心者の私にはまだ判別は難しいようだ。
もう一本のチキンはクリスピーチキン。
うまかった。
最初の3本はペロリと食べる。
隣の女性たちは育児の話をしていた。
続いてチキンを二本取りに行く。
まだ脂に耐えきれそうだったので。脂の多い部位を選んだが、またしてもヘルシーな部位だった。
4本目は普通に食べられたものの、5本目の途中から脂が少し辛くなってくる。
ヘルシーな部位が続いたのだが実はしっかり油分が含まれていたのだろう。
少し苦しくなったものの、5本目を食べ終える。ここまでの時間30分。
少し休憩としてカレー食べる。
このカレー、マッシュルームが入っててなかなか美味い。
カレーを食べ終え、烏龍茶を飲む。
周りを見ると、チキン3つくらいでギブアップしている人が多そうだった。
烏龍茶をまた飲む。
時間が残り20分程度になってきたので、最後にチキン1本食べて締めにしようと思ったが、心とは裏腹に体が動かない。
頭も少し痛い。
油物を多く食べるとこういうことがたまにある。
昔、餃子の食べ放題で友達と競争した時にも同じような感じになったことを思い出した。
ここでストップにしようか迷ったが、バイキングでは苦しくなるまで食べなくてはならない、というルールを思い出した。
昔、何かで見た漫画で、大人と子供の違いについて書いていた。
そこでは確か、大人になるということは食べ放題で苦しくなるほど食べなくなることだ、みたいな事を書いていた。
確かに思えば子供の頃は苦しくなるまで、なんなら吐くまで食べていたような気がする。
もちろん吐くまで食べるのは良くないが、ここで大事なことは、後のことを考えないということなのだと思う。
大人というのは、経験があるので、これ以上食べたら苦しくなるとか、美味しく食べれないというのがわかるのだろう。
しかし、子供はそんなことは考えておらず、ただ、美味しいものをいっぱい食べたい、という気持ちなんだと思う。
その方がなんかかっこいいよね。
子ども心を目指すのは果たして本当の子供心なのかということはさておき、常に純真無垢、子ども心を持ち続けたいと考えている私としては、多少苦しくなったからといって食べるのをやめるわけにはいかなかった。
最後のチキンを一本取ってくる。
今までヘルシーなチキンが続いたのだが、今回は脂が多い部位だった。
最後の最後で脂が乗った部位がくるのはなんとタイミングが悪いのだろう。
一口噛んだ瞬間、滲み出る脂を飲み込みながらそう感じた。
うまいことはうまい。
しかし、胃の中はすでにパンパンで、脂が脳にまで染み込んできているような感じがしており、頭が非常に痛い。
時間も迫っており、無理やりチキンを口に入れながら、同時に烏龍茶で脂を洗い流す戦法を取り、なんとか最後の一本を食べきることができた。
こうして、ケンタッキーフライドチキンvs俺、90分一本勝負は終わった。
判定は私の負け。
今回のブッフェは1900円。
ケンタッキーのチキンは一本250円であり、6本食べた私は1500円分にしか届かなかった。
カレーやドリンク、デザートなどを含めると、一応元?は取れたような感じではあるが、ケンタッキーの強みはやはりチキンである以上、チキンの本数で比較しないとフェアではないだろう。
たらふく食べて苦しかった私は、家まで歩いて帰ろうとしたのだが、途中苦しくなって電車に乗ってしまった。
平日午後二時過ぎ。
その路線は港へ向かう路線だったのでもともと人は少ないのだが、この時間ということもあり、より少なかった。
座ってもお腹が苦しくて猫背になることができず、仰け反るような形で座席にいたのだが、電車の揺れで不意にげっぷがこみあげてきた。
音を出さないよう、徐々に喉を開き、鼻から息を出したところ。フライドチキンの匂いがした。
もう当分鶏肉はいいかな。
以上
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