マスオさんはつらいよ

走文
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「実家のようにくつろいでね」そう言われた気がする。

 

いや、確かに言われた。

 

こう言われたのは初めて妻の実家に行った時、付き合い始めて最初の夏だったと思う。

 

あれから5年経ち、今年の春に子供が生まれた。

 

妻は里帰り出産を希望していたので、出産予定日の2ヶ月前から実家に帰っていた。

私は出産時には立ち会おうと考えていたのだが、義実家までは遠いので陣痛の連絡を受けてから義実家に向かったらもしかしたら間に合わないかもしれないなとか思っていた。

 

そんな時、コロナウイルスがあり、会社は休業となり、自宅待機となった。

私は出産後に育児休業を取る予定だったのだが、自宅待機期間中に出産予定日を迎えそうだったので、上司と相談して自宅待機期間中に義実家に行くことにした。

 

ここから半年間、9月末まで義実家で暮らすことになる。

 

そう、マスオさん生活の始まりである。

 

マスオさんと違う点としては、まず波平がいない。

妻は父を既に亡くしているのだ。

また、妻は一人っ子なので、カツオもいないしワカメもいない。

まだ子供も生まれてないのでタラオもいない。

ペットも飼っていないのでタマもいない。

ようするにサザエとマスオとフネの3人生活というわけだ。

 

赤ちゃんが生まれたら少し変わるかもしれないが、生まれたての赤ん坊なんて泣くこと以外に何もできない存在なので期待はできないだろう。

 

今まで義実家に泊まったことはあったが半年弱という長期の生活はこれが初めてであり、少し不安があった。

 

というのも、義母は私のことをあまり良く思っていないらしく、妻を通して不満を聞かされていた。

義母は私の理屈っぽいところが嫌いらしかった。

 

逆に私も義母のことはあまり好きではない。

義母の田舎特有のガサツさと話のつまらなさが好きになれない。

 

こう互いに嫌いだと同居も不安になる。

私が義実家に到着してから出産予定日までは10日弱あり、妻がいる間に何とか仲良くなりたいものだなあと考えていた。

 

ところが事態は急展開を迎え、私が高知についた翌日に妻が出産した。

予定日よりも10日ほど早い出産だった。

妻は帝王切開での出産だったので出産から2週間ほど赤ちゃんと一緒に入院することになった。

そのため義実家についた次の日から2週間、義母との共同生活となった。

 

これがなかなか気を使う。

実家のようにくつろいでねと言われてはいたものの気を使ってしまった。

 

今回、絶妙に気を使った2点を挙げたい。

 

まず、テレビ。

義実家では自分の部屋というものはないので基本的にリビングにいるのだが、義母も大体リビングにいるのでほとんどずっと顔を合わせることになる。

私は基本的にスマホをいじっているのだが、義母はテレビを見ておりたまにテレビの話題で話しかけてくる。

私は見たい番組はないので義母が見たい番組を見ているのだが、テレビの趣味が合わないらしくそのとき放送されている中で一番見たくない番組ばかりが選ばれている。

 

大体日中はサスペンス、夜は動物もしくはクイズの番組だ。

 

私はサスペンスが特に興味がなかった。

サスペンスは再放送が多く興味ない人にとっては同じような人ばかりで同じような場面ばかりなので何が面白いのかさっぱりわからなかった。

なるべくテレビを見ないように聞かないようにしていたのだが、視界にはチラチラと片平なぎさが入ってくるし、耳には事情聴取のやり取りが入ってくる。

興味のないテレビを延々と流されるのがこんなに辛いというのを初めて知った。

 

次に食事の好み。

義母は野菜を甘く煮たやつとべちゃべちゃしたご飯が好きらしく、希望がなければよくそれが出てくる。

出されたら食べないわけにはいかないので食べるのだが、正直あまり美味しくはない。

しかも若い人はたくさん食べると思われているのかお代わりも勧められる。

 

一度入院中の妻に相談したこともあったのだが、自分で作るって言えば?と言われた。

言えないだろ。

 

そんなわけで自分としては色々と気を使ってきたつもりだったのだが、義母からはどうやらそうは思われていなかったらしく、妻が退院してから義母は妻に私の愚痴を言っていたらしかった。

内容としては、私が気が利かない、ずっとダラダラしている、というものだった。

それなりに気を使ってきたつもりだったのだが、ずっと受けの気遣いばかりで攻めの気遣いをしていなかったなと思った。

 

どうしたもんかと思い妻に聞いてみると、義母はマスオさんみたいに気を使う人が良いと言っていたとのことだった。

 

うーんマスオさんかあ、と。

 

やっぱりマスオさんは気を使っているイメージなんだなと思いつつ、これからはもっとマスオさんみたいに肩身を狭くして生きていかないといけないなあと思った。

 

実家のようにくつろいでね、という言葉はなんだったのだろう。

もしかしたら、実家のようにくつろいでねと言ったものの実家のようにくつろいでいいとは言っていないということだったのかもしれない。

 

マスオさんになるにあたって一つ心配事としては、実際問題そんなにマスオさんって義母であるフネさんに対して気を使っていたかなということである。

というのもマスオさんとフネさんって話しているところあんまり見たことない。

マスオさんが波平に媚びを売っているのは良く見かけるがフネさんとはなんかよそよそしい感じがする。

 

本当にマスオさんになっていいものなのだろうか。

おそらく義母が言っているのは、本物のマスオさんになれということではなく、皆の心の中にある、家族間カースト最下位イメージのマスオさんになれということだろう。

 

うーんマスオさんはつらいなあ。

 

おわり。

走文
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