カプセルトイを “素材” と “加工技術” から深掘りする――つくり⽴ちを知れば、あなたのアイデアもビジネスになる ――

技術
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1. カプセルトイとは?

駅ナカやショッピングモールで⾒かけるガチャガチャ(ガシャポン)は、直径45〜90 mmほどのカプセルに玩具や雑貨を封⼊した⾃販機ビジネスの総称です。⽇本では年間800億円規模ともいわれ、⼩ロットで尖ったテーマの商品が次々にヒットする“企画勝負”のマーケットになっています。


2. 主要素材と“選ばれる理由”

使われる場所 主流素材 選ばれる理由
カプセル PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン) 軽くて割れにくい/⾊乗りが良い/射出成形しやすい
フィギュア本体 ABS樹脂 衝撃に強く形状が安定。細部の再現度が⾼い
PVC(ポリ塩化ビニル・軟質) しなりがあり、複雑形状でも抜けやすい。塗装が密着しやすい
環境配慮型カプセル 生分解性バイオプラスチック/紙 焼却しても⽣成エネルギーが少ない・海洋で分解/リサイクル適性

コラム:90 mmカプセルの登場
近年は “映える” ⼤型ディスプレイ⽤に 90 mm サイズが発売され、ABS+PVC のハイブリッド成形で精密造形が可能に。⼀回 1,000 円の⾼単価モデルとして注⽬されています。


3. 加工技術でミニチュアに命を吹き込む

3-1. 射出成形(インジェクション)

溶かした樹脂を⾼圧で⾦型へ射出し、瞬時に冷却固化。ABS/PP/PS の量産に最も使われ、1ショット数秒〜数⼗秒で成形できます。国内にはカプセル専業の成形メーカーも存在し、⽣産効率とコスト競争⼒を⽀えています。

3-2. 回転成形(ロト成形)

フィギュア内部を空洞にしたい場合に⽤いられる低圧成形。樹脂粉を⾦型内で回転させながら溶かし、均⼀な薄⽪を作ります。ソフビ(軟質PVC)玩具の伝統技法でもあります。

3-3. 超音波溶着

2 枚構造のカプセルを閉じたり、⼩パーツを組む際に⽤いる“接着剤いらず”の融着法。秒単位で固着し強度も安⼼。

3-4. 表面表現

技法 概要 用途
タンポ(パッド)印刷 シリコンパッドで曲面に微細インクを転写 眼やロゴなど多⾊/微細柄
スプレーマスク塗装 部分的にマスクしてグラデ塗装 メタリック表現・影付け
手塗り&エンボス 職⼈が仕上げ/凹凸を金型で再現 建築模型など少量⾼付加価値

4. 個人でも挑戦できる!スモールビジネス5選

アイデア 概要 スタートコスト感
① 3Dプリント × レジン複製で“超マイクロメーカー” 光造形プリンタでマスター原型 → シリコン型&レジンで 50〜300 個の少量生産。既存ベンダーから 45 mm カプセルを仕入れて封入し、イベントや委託ショップで販売。 30〜40 万円(光造形機+真空脱泡機)
② オリジナルカプセルトイ出張サービス 結婚式・企業イベント向けに⼩さめの卓上機をレンタルし、ロゴ入り景品を封入。景品はレーザーカット・アクリルチャームで内製。 20 万円〜(中古機+アクリル加工費)
③ エコカプセル再⽣&アップサイクル雑貨 使用済みカプセルを洗浄・再着⾊し、植物ポットやLEDライトシェードにリメイク。環境配慮型ストーリーを武器にハンドメイド EC で展開。 10 万円以下
④ 月額“おうちガチャ”サブスク 毎⽉テーマ別カプセル玩具を⾃宅に郵送。“開封のワクワク”を EC に持ち込むモデル。カプセルはバイオ素材を採⽤し SDGs を訴求。 仕入れ 20 万円〜/サイト構築
⑤ カプセルトイ専用ディスプレイ・スタンドの設計販売 3Dプリンタで量産できるスタンドやジオラマ台を STL データ販売+受注造形。コレクター層向けのニッチ市場。 5 万円〜(FDM プリンタ)

5. まとめ

カプセルトイは 「安価に量産できる汎用プラスチック」+「高速・多彩な成形/彩色技術」 で進化してきました。さらに昨今はバイオプラスチックや紙カプセルといった新素材の台頭で“サステナブル”の波も加速中です。素材や加工の基礎を押さえれば、3Dプリントやレーザーカットを活かした 小ロット・⾼付加価値 のビジネスも個人で十分成立します。

あなたの“好き”や“こだわり”を 45 mm の世界に閉じ込めて――次に回すハンドルは、あなた自身かもしれません。

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