私たちの毎日は、一見すると特別なことなんて何も起きていないように思えるかもしれません。
けれど、その「何もないように見える日常」こそが、実は自分という人間のいちばん深い部分を映し出しているものだと、私は思うのです。
私たちは、無意識のうちにたくさんの「いつも通り」を繰り返して暮らしています。
朝起きて、顔を洗い、同じ時間に家を出て、同じ道を歩き、同じタイミングでコーヒーを飲む。
そんな毎日の中には、自分でも気づかないルーチンワークがたくさん隠れています。
でも、それに気づくことは意外と難しい。あまりにも自然にやってしまっているからです。
そこで、日記の出番です。
日記を書くことは、「気づいていない自分」をそっと炙り出す、静かだけれどとても大切な作業です。
そしてそのとき大切なのは、くだらないことでも細かく書くこと。
むしろ、くだらないと思えることにこそ、あなた自身の「無意識」が宿っています。
Contents
起きてから寝るまで、くだらないことでも全部書いてみる
たとえば、朝起きた瞬間のこと。
目覚ましが鳴る前に目が覚めたのか、二度寝してしまったのか。
顔を洗うときに冷たい水にびっくりしたのか、ぼんやりとしたまま流してしまったのか。
朝ごはんを食べたか食べなかったか。何を食べたのか。美味しかったのか、そうでもなかったのか。
通勤中、どんな景色が目に入ったのか。
どんな匂いを感じたのか。隣を歩いていた人がどんな格好だったのか。
昼休みに食べたもの、仕事中に感じたちょっとした違和感、誰かの何気ない一言。
帰り道の夕焼けの色、夜になって観たテレビ番組の感想、寝る前に思ったこと。
それらを、できるだけ細かく、書きとめていきます。
「こんなこと書いても意味あるのかな」と思うようなことほど、大事に残してほしい。
日記とは、自分の暮らしの、細部のディテールをすくい取るためにあるものです。
毎日の「パターン」に気づく瞬間
こうして細かく書き続けていくと、あるときふと気づきます。
「あれ、また昨日と同じようなことを書いてるな」
「この時間になると、必ずこの行動をしてるな」
そんなふうに、自分の中にある「無意識のパターン」が、自然に浮かび上がってくるのです。
そして、そこから新しい発見が生まれます。
このルーチンは自分を支えてくれているな、と感じることもあれば、
この習慣は少し苦しいかも、と気づくこともあるでしょう。
気づくことで、初めて選択肢が生まれます。
続けるのか、変えるのか。どちらも、あなた自身が決めていい。
そのきっかけを与えてくれるのが、日記なのです。
「くだらないことを大切にする」ことの意味
大きな出来事や、特別なイベントばかりを書こうとしなくていい。
むしろ、何でもない日常の積み重ねこそが、あなたの人生を形づくっています。
起きて、歩いて、食べて、笑って、怒って、寝る。
その一つひとつの瞬間に、あなたの生きている証が宿っている。
だからこそ、くだらないことだと思わずに、ぜひ書いてみてください。
日記は、あなた自身を静かに照らしてくれる小さな灯りです。
今日という日を丁寧に拾い集めることで、少しずつ、気づかなかった自分と出会えるはずです。
起きてから寝るまで、くだらないことでも、細かく。
それが、あなた自身を深く知るための、確かな第一歩になるのです。
コメント