冬の終わりが近づき、寒さと暖かさが交互に訪れる。三日寒さが続いたかと思えば、四日ほど春の気配が忍び寄る。空気の冷たさに身を縮める日もあれば、ほんのりとした温もりにコートの前を緩める日もある。
小さな膝が目の前にある。まだ柔らかく、少し丸みを帯びたその膝を、ぽむぽむと優しく叩く。心地よい弾力と、かすかな温かさ。幼子の膝は、冬の寒さとは無縁のようで、春の気配をひと足早く宿しているようにも思える。
「寒いね」と言うと、「あったかいよ」と返ってくる。たしかに、掌に伝わる温もりは、どんな暖房よりも確かなものだ。冷えた指先で触れれば、まるで春の兆しを直に感じているような気さえする。
外の風はまだ冷たく、次の寒の戻りが来るのかもしれない。それでも、ぽむぽむと響く小さな膝の温もりは、確かに冬の終わりと春の訪れを告げていた。
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