仕事始めの朝。久しぶりのデスク、久しぶりのキーボードの感触。年末年始の喧騒が過ぎ、日常がゆっくりと戻ってくる。けれど、頭も体もまだ本調子ではなく、時間だけが淡々と進んでいく。
ふと時計を見ると、十一時。昼には少し早いが、腹の底からじんわりと湧き上がる欲求がある――カレーが食べたい。香ばしいスパイスの香り、熱々のルーが舌に広がる感覚、それを白いご飯に絡める幸福。そう思うと、もう頭の片隅から離れない。
新年の初仕事とはいえ、気持ちはまだどこか緩んでいる。午前中の業務に集中しながらも、心のどこかで「今日のランチはカレーにしよう」と決めている自分がいる。いつもの店か、新しい店か。トッピングはどうするか。そんなことを考えていると、不思議と少しだけ仕事のリズムが整ってくる。
年が明けても、変わらぬ日常。新しい目標、新しい気持ち、それも大事だが、仕事始めの十一時にふと湧き上がるカレーへの渇望もまた、確かに「今」を生きている証のように思えた。
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